株式会社 科学技術研究所
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物性値と形状再現ーメッシュ生成

 
シミュレーションでは空間における物体の配置と形状は、空間を分割して出来るメッシュ交点への物性値割当てで再現されます。空間の分割が有限であるため、形状や配置の再現は空間の分割数によって精度が変化します。
上記の2次元の場合では円筒を再現しようとしていますが点線で示された各メッシュ交点のCVを繋げると凸型で近似されることが分かります。解析によってはこの解像度では不足する場合もあり得ますし、十分かもしれません。この見極めは解析の目的を念頭に置いて検討する必要があります。

空間の離散化

 
Z方向の空間1次元で電界成分Ey、磁界成分Hxをもつ電磁波が伝搬するときのMaxwell方程式の(eq.1-b, eq.1-d)を1次元に適用し、電界Eyと磁界Hxに関する式を求めると次の2式が得られます。(eq.7)から磁界Hxの単位時間の変化はEyの空間微分で求められます。また(eq.8)から電界Eyの単位時間変化が求められます。FDTD法では電界と磁界を空間・時間的にずらして配置(スタガード配置)して計算を効率的に行います。

時間の離散化

 
(eq.9), (eq.10)の左辺は電界EyとHxの時間変化を表していますが、これも離散化が必要です。また前述の通り、電界Eyと磁界Hxは時間的にもずらして配置するので電界が時刻n=1, 2, …に存在するとき磁界は時刻n=1+1/2, 2+1/2, …に配置します。
時刻を離散化して時刻n=1と時刻n=2の間隔がΔtとすると左辺を差分化して(eq.11), (eq.12)に書き換えられます。
(eq.12)でEyin+1/2の項が表れていますがこの値をEyin+1/2=0.5×(Eyin+1+Eyin)として、(eq.11)についてHxi+1/2n+1/2、(eq.12)についてEyin+1を求める式に書き換えれば時間についても離散化された式が得られます。
重要な点は、時間を離散化する際に時間間隔Δtが現れたことです。Δtは一般的にタイムステップと呼ばれシミュレーションでは重要です。

計算時間の考え方

 
FDTD法ではシミュレーションにかかる時間に関して概ね上の3式で表されることを考慮します。(eq.13)はCFL条件と呼ばれ、タイムステップΔtの間に電磁波がメッシュの間を飛び越えないという条件です。なおこの式の左辺を右辺で割った値はCFL数と呼ばれ、(eq.13)は「CFL数が1以下でなければならない」とも言い換えられます。メッシュ間隔dx, dy, dzが小さくなるとΔtが小さくなることを忘れてはいけません。
FDTD法は物理量を求める際に、過去の情報のみを用いる陽解法なのでCFL数は1以下でなければなりません。物理量を求める際に過去と現在の連立方程式を解く陰解法を用いるFDTD法の場合はCFL数が1以上の場合もありますが、電磁波解析ではこの手法は現段階で一般的ではありません。
(eq.14)は1タイムステップ進めるために必要な解析時間tstepと解析領域の各方向メッシュ数ni, nj, nkの関係を示し、tstepは全メッシュ数(ni×nj×nk)に比例することが分かります。
(eq.15)は解析開始から幅W、奥行D、高さHの解析領域内部に電磁波が行き渡って、定常状態になるまでの解析ステップ数nstepとW、D、H、Δtの関係を示しています。
解析領域を一定として、各方向のメッシュ幅をdx=dy=dz=dhとすると、各方向のメッシュ数はni=W/dh, nj=D/dh, nk=H/dhとなります。またタイムステップΔtはdh/cです。定常解を求めるために必要な全解析時間ttotalは1ステップにかかる計算時間(eq.14)とステップ数(eq.15)の積で表され(eq.16)の関係が成り立ちます。
つまり解析領域が同じ大きさでメッシュ幅を各方向均一のメッシュを使用した場合、定常状態を得るための解析時間は「メッシュ幅の4乗に反比例」します。端的に言うとメッシュの密度を2倍にすると定常状態を得るまでの計算時間は32倍になります。
この問題を避けるためには以下の3点について検討が必要です。
  • メッシュは3方向で同じ幅である必要はなくX, Y, Z方向でメッシュ数を調整します。但しメッシュ幅が極端に異なると誤差の原因となるためそのアスペクト比は5倍以内に収まるように注意します。
  • 少しでもメッシュ幅を大きくします。均一メッシュの場合はメッシュ幅を1.25倍にすると解析時間は40%程度まで短縮できます。
  • 不均一メッシュを使用するケースもありますが、誤差の挙動が複雑なので一概には勧めていません。商用ソフトでは解析領域内にメッシュの細かい領域を作るマルチグリッド機能を備えているものがあり、これを使用するほうが有利です。
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