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実験とシミュレーションの比較

 
実験では一般的に具体的な実験系を構成し実験を行い具体的な結果を得ます。一方シミュレーションでは具体的な系を一旦数値モデルに落とし込み(抽象化)、そのモデルから数値計算によって具体的な結果を得ます。
同じ実験系について実験とシミュレーションを行って、結果が異なることはさほど珍しくありません。シミュレーションでは理想的な系を想定しますが、実験系では機器の錆び、汚れ、歪みなどが頻繁にあり、励振源も理想的な正弦波を発振する機器は存在しないからです。
適切に行われたシミュレーションで実験と異なる結果が得られる場合は、シミュレーションで抽象化出来ていない物理が存在すると考えられます。前述の実験系の非理想的な条件もその一つであり、Maxwell方程式で抽象化出来ない何らかの現象の可能性もあります。実験とシミュレーションが一致しないところには新しい発見の可能性が埋まっているのです。尤もシミュレーションが適切に行われていることが前提ですが。

解析事例(マルチモードキャビティによる加熱)

 
以降で図化処理等について説明するために例題を紹介します。幅300×奥行200×高さ200[mm]のマルチモードキャビティに2.45GHzのTE10導波管が接続されて、キャビティ中心のワークを加熱するものとします。キャビティ内部は空気で満たされており、ワークの物性はε’-jε” = 4-j2で半径20[mm]、高さ20[mm]の円筒形としました。
境界条件は導波管のキャビティの反対側を吸収境界条件MUR1としてキャビティ面は完全導体壁PECとしました。
解析はマルチモードキャビティ内の電磁波伝搬と定在波形成を定性的に把握するものとします。この目的を考慮してメッシュ数60×50×60を使用して、CFL数=0.5の条件でタイムステップを求め20000ステップの解析を行いました。

図化処理(コンター)

 
シミュレーション結果を文書化する際に頻繁に使用されるのが電磁界の強度やSARを色で表現したコンターです。コンターは平面上の分布を視覚的にかつ定量的に把握できる点で非常に優れています。
コンター使用時の注意点はカラーで出力した画像をモノクロまたは2色、3色刷りの印刷物で使用しないことです。カラーのコンターは赤色に大きな値、青紫色に小さな値を割り当てることが多いです。これをモノトーンにすると大きな値と小さな値共に濃い色で印刷されるため、非常に紛らわしい図表になってしまうのです。(下の図)論文や印刷物がモノトーン印刷の場合それに合わせて最初から図化処理する必要があります。(上の図)

図化処理(ラインコンター)

 
ラインコンターは等値線のことです。コンターと同様、シミュレーション結果の図化処理では頻繁に使用されます。コンターに比べると値の把握が直感的には出来にくいが、モノトーン画像でもコンターで発生したような問題は発生しにくいのが特長です。またコンターよりも値の傾きを等値線の間隔から把握しやすいという大きなメリットもあります。
値の把握には上の図のように線の濃さを変更するケースや、ソフトウェアによっては等高線に小さな文字で値を追加できるものもあります。上記の図は線の濃さを変更した図です。
等高線に値を追加した図を使用する場合、印刷時の大きさを考慮して文字の大きさを調整する必要があります。また.pngや.jpeg等のデータを用いた場合には文字も画像として扱われるために印刷時に判読できない可能性が高くなる点に注意が必要です。

図化処理(ポインティングベクトル、流線)

 
電磁波解析ではベクトルの描画は電磁界の成分について描画することが多いですがPoyntingベクトルを描画するとエネルギーの伝搬様式を視覚的に捉えられます。また流線は電磁波解析で描画されることはほとんどありませんが、Poyntingベクトルの流線は加熱問題でエネルギー移動把握の有力なツールです。
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