株式会社 科学技術研究所
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論文・報告書作成に当たって

ー実験と合えばよいというものでもない
ー高度ならよいというものでもない
ー1つのシミュレーションだけでは…
 
「シミュレーションと実験の結果はよく一致し双方の妥当性が確認できた。」という行はシミュレーションを使った研究の論文や報告書の定番ともいえます。この時に「なぜ一致したのか」に言及しない文書が多く、折角の成果が活用しきれていないケースがあります。そもそもシミュレーションと実験が一致する前提ならシミュレーションは不要という意見もあります。
「電磁界と熱流体を連成させた高度なシミュレーションを行い、良好な結果を得た。」という行もあります。電磁界と熱流体の連成は実際非常に高度です。その理由の一つは現象の時間オーダーの違いです。電磁界の時間オーダーは周波数の逆数ですからマイクロ波の場合10-9秒、熱流体は多くの場合秒単位です。つまりこの二つを完全には同時に扱えず、連成には工夫が必要です。また電気的物性値に加えて、熱物性及び流体の粘性を把握する必要があります。これらの内には大きな温度依存性がある物性値もあり、そのモデル化も必要です。CAEとして必要に応じて高度な連成解析を用いるのは有効活用であると考えますが、「研究」目的の場合は扱っている現象及びシミュレーション手法が複雑で得られた結果の活用も難しいと考えています。
またシミュレーションを1ケースのみ行い実験と比較する例も少なくないのですが、これはシミュレーションの妥当性確認には不十分と考えます。可能であれば数ケースのシミュレーションと実験を定性的、定量的に比較して妥当性検証の上、結果を活用するべきです。一つの高度な解析よりも基礎的なシミュレーションの積み重ねの方がしばしば有用な知見をもたらします。

プレゼンテーションについて1

ーアニメーションはほどほどに
 
シミュレーションの結果をプレゼンテーションする場合に、解析結果のアニメーションは強力なツールになります。特に動きの少ないプレゼンテーションスライドの中で動きのあるアニメーションは聴衆を惹きつけます。
とはいえ、アニメーションばかりが続くプレゼンテーションは聴衆にとって目を引きますがプレゼンテーションそのものの印象を薄めてしまうデメリットがあります。効果的に使用するなら10分に1回程度に留めておくのが無難です。
またアニメーションを埋め込んだプレゼンテーションは準備を十分にする必要があります。使用するPCの影響でアニメーションが再生されなかったり、プレゼンテーション会場のスクリーンとアニメーションのアスペクト比が合わず一部表示が切れるなど頻繁に発生するトラブルです。

プレゼンテーションについて2

ーシミュレーションの世界と聴衆の世界
 

シミュレーションが専門の学会では以下に言及しつつ結果の紹介と考察

  • テクニカルタームを使い簡潔な説明に努める
  • 離散化スキームや境界条件
  • 計算環境に関する事項
  • 計算時間など

シミュレーションが専門ではない学会ではポイントは次の通り

  • テクニカルタームを使わざるを得ない部分は思い切って省略して
  • 上記の点は少し少なめにして
  • シミュレーション結果の紹介と考察に時間をかける
研究発表は論文や報告書が先に作成されていることが多く、またそれを元に発表資料やプレゼンテーションを作成するために起こる問題があります。それは論文や報告書に記載した事項をすべてプレゼンテーションに盛り込んでしまうことです。
シミュレーションを活用した論文や報告書では第1節で述べたように、支配方程式の記載から始めて、物性値または物性モデル、メッシュ、境界条件などシミュレーションが再現できる情報を基本的には全て記載します。
一方で時間に限りのあるプレゼンテーションではこの部分に時間をかけると、研究結果の発表時間が不足する可能性もあります。この問題は聴衆に応じてプレゼンテーション内容を変更することで対応しなければなりません。
シミュレーションに詳しい聴衆が多ければ、シミュレーションに関するテクニカルタームを使用して冗長な説明を避けます。一方でシミュレーションに親しみのない聴衆が相手の場合には、シミュレーション手法に関する部分は思い切って短縮または省略する等の工夫が必要です。
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