株式会社 科学技術研究所
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励振源-周波数とモード

 
FDTD法のシミュレーションでは周波数の制限はありません。このため電波~マイクロ波帯~テラヘルツ帯~可視光帯~紫外線の幅広い範囲で活用できます。
励振源の設定で重要なのは励振モードの設定です。例えばマイクロ波帯では多くの場合、上記の4種類の励振源が使用されます。ソフトウェアによってはより多くのモードが準備されていることもありますが、この4種が基本です。
アンテナを励振源とする場合は、モノポールアンテナやダイポールアンテナの場合は点源と誘電体を組み合わせてアンテナそのものをモデル化します。構造の細かなアンテナはそのままモデル化することが困難な場合が多く、如何に等価なアンテナをモデル化するかがポイントになります。

境界条件

 
電磁波シミュレーションで用いられる境界条件は主に上に示した3種類です。MUR1及びPML(Perfect Matched Layer)は電磁波の反射を0にする条件として定式化されているため吸収境界条件と呼ばれますが実際には解放をモデル化する場合に使用されます。
完全反射条件PEC(Perfect Electric Conductor)は入射した電磁波を完全反射する条件です。導波管やキャビティ壁面はこの境界条件でしばしばモデル化されます。理想的な(導電率∞の)導体を仮定しているために、壁面での損失をシミュレートすることはできないので注意が必要です。
また周期的な構造を持つ電波吸収体のようなものをシミュレートする場合には周期境界条件を使用します。周期境界条件を用いると1周期の解析領域を計算するだけで、無限に同じ構造が続いていることを模擬できます。構造が距離を置いて存在する場合には、構造と解析領域境界の距離は構造同士の距離の半分になるように配置することに注意が必要です。

収束判定

 
一般的にシミュレーションは電磁界が存在しない解析領域に時刻0において電磁波の励振を開始します。またFDTD法は時々刻々の物理量を得る手法(時間進行法)であるため解析領域内に電磁波が十分に行き渡った状態になるまでは過渡的な状態の結果が得られます。
過渡的な結果が得られるのはFDTD法の大きなメリットである一方、次項の実効値を求める場合には過渡的な状態では物理的な意味を持たない結果が得られます。このため実効値を求めるために積算を行う場合は過渡的な状態が定常的な状態にまで進んでいる(=収束している)ことを確認します。
この確認は解析領域の代表的な位置で時系列電磁界強度を確認し、その振幅が一定になっていることで判断します。

実効値の導出

 
FDTD法は時間進行法であることを前述しましたが、これは得られる物理量はすべて時々刻々の値であることを意味しています。電磁波を連続照射する実験や実機では電磁波の電界成分の時々刻々の値ではなく実効値を用います。
FDTD法では直接実効値を求めることは出来ないので、時々刻々の値を積分(積算)して実効値を求めるのが一般的です。有限要素法では実効値を反復計算によって求めるため、有限要素法ではこのプロセスはありません。もし有限要素法の経験のある方は、FDTDでは実効値を積分で求めることを忘れないよう注意が必要です。
またこのプロセスは前述した収束状態で行わなければ、物理的に意味がありません。積分(積算)を行う場合には必ず収束性の確認が必要です。

解析結果から求められる値

 
上の表でĒi,j,kなどの変数の上に‾がついているものは積算を行って得られる値です。FDTD法ではメッシュ各点の物理量を時系列で扱っているために、非常に多くの情報を得ることが出来ます。とはいえ、すべての情報を保存するのはディスク容量の無駄でもあり現実的ではありません。
電界によるマイクロ波加熱問題では電界ベクトルの実効値及びSARがデータが必須で必要に応じて実効Poyntingベクトルのデータを保存します。
一方、アンテナ解析の場合には電磁界強度の実効値に加え位相のデータが必要です。更にアンテナそのもののインピーダンスを検討する場合には複素電流ベクトルのデータが必要であり、保存するべきデータが多くなります。
電波伝送問題ではDUR(Desired Undesired Ratio)が必要ですが電界ベクトルの実効値と電界成分の位相データがあれば複素電界を求めることが出来るため、複素数の形でDURを計算できます。
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