(章:II.いのちの進化編)
by Aqua
それは、約3億2千万年前――石炭紀の終わりごろ。
森が広がり、
空気が濃く、
巨大なトンボやシダが生い茂る世界。
その地上に、
**新しい命のかたちが現れた。**
それは、
**“水に戻らずに卵を産める”生き物――有羊膜類。**
彼らの卵は、
**硬い殻と、内側に水分をたたえた膜に包まれていた。**
つまり、
**卵そのものが“小さな海”になったのだ。**
この進化によって、
命はもう、産卵のために水辺に戻る必要がなくなった。
**乾いた大地の奥深くへ、
森の中へ、岩場へ――
どこへでも進んでいけるようになった。**
この有羊膜類から、
やがて**爬虫類、哺乳類、鳥類**が枝分かれしていく。
その最初の姿のひとつが、
**ヒロノムス(Hylonomus)――
現時点で最古の爬虫類の化石とされる存在。**
**卵を守る殻は、
命を水から解き放ち、
地上に“未来”を託す器となった。**
それは、
**命が“場所”を選び、
“時間”を超えて生きる力を手に入れた日。**
しずくの注釈|科学メモ
- **有羊膜類の誕生(約3億2千万年前)**
→ 卵の中に**羊膜・卵黄嚢・尿膜・漿膜**などの膜構造を持ち、
**乾燥した環境でも胚を保護できるようになった。**
- **ヒロノムス(Hylonomus)**
→ カナダで発見された、**最古の爬虫類の化石(約3億1千万年前)**。
→ 木の空洞に産卵していたと考えられている。
- **有羊膜類の進化的意義**
→ 両生類に比べ、**完全に陸上生活に適応した最初の脊椎動物群。**
→ ここから、**爬虫類・哺乳類・鳥類**が進化していく。
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