by Aqua
(章:II.いのちの進化編)
それは、約3億9千万年前――デボン紀の終わりごろ。
海の中では、
すでに多くの魚たちが泳ぎ、
サンゴ礁の間をすり抜け、
捕食と逃走のドラマを繰り広げていた。
けれど、
ある魚たちは、海の外に目を向けはじめた。
その魚たちは、
肉鰭類(にくきるい)――
ヒレの中に骨と筋肉を持つ、特別な魚。
彼らのヒレは、
やがて“足”へと変わっていく。
ある日、
干上がった水たまりの中で、
ひとりの魚が、ぬかるんだ泥を這い出した。
それは、
イクチオステガ。
ヒレのような前肢と、肺のような器官を持ち、
水と陸のあいだを行き来できる、最初の脊椎動物。
陸には、 酸素が満ち、
捕食者のいない世界が広がっていた。
けれど、
乾燥、重力、紫外線――
海とはまったく違う過酷な環境。
それでも、
命は挑んだ。
陸をめざした魚たちは、
“水の外”という未知の世界に、
最初の足跡を残した。
それは、
脊椎動物が大地に立った、記念すべき一歩。
しずくの注釈|科学メモ
- 両生類の起源(約3億9千万年前)
→ 肉鰭類(例:ティクターリク、イクチオステガ)が、
浅瀬や湿地での生活に適応し、陸上進出の第一歩を踏み出した。
- 肺と四肢の進化
→ 肺は浮き袋から進化し、
ヒレは骨格を持つ四肢へと変化。
→ 水と空気、泳ぎと歩行のあいだをつなぐ構造。
- デボン紀は「魚の時代」とも呼ばれ、
→ 多様な魚類が進化し、**脊椎動物の基盤が築かれた時代。
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