滴012|陸に上がったものたち
(章:II.いのちの進化編)
**海の波が、命の背を押した。**
それは、
**水の中で生まれた命が、
初めて“乾いた世界”に触れた瞬間。**
---
最初に陸を目指したのは、
**植物たち。**
約5億年前、
藻類の仲間が、
**湿った岩場や浅瀬に根を下ろし、
やがて“陸上植物”へと進化した。**
彼らは、
**水を運ぶための維管束**を手に入れ、
**乾燥から身を守るクチクラ**をまとい、
**胞子や種子で子孫を広げる術**を覚えた。
**光を求めて、空へと伸びる緑の塔。**
それは、陸の風景を一変させた。
---
そして、
その緑の世界に続いたのが――
**両生類。**
約3億7千万年前、
魚のひれが、**骨を持つ四肢へと変わり、**
肺が、**水中のエラから空気を吸う器官へと進化した。**
**ティクターリク、イクチオステガ、アカントステガ……**
彼らは、**水と陸のあいだを行き来する“橋渡し”の存在**だった。
---
**陸は、過酷だった。**
乾燥、重力、紫外線。
けれど、そこには、
**新しい光と空気と、未踏の空間があった。**
命は、
**水の記憶を抱えたまま、
新しい世界に根を下ろし、足を踏み出した。**
しずくの注釈|科学メモ
- **陸上植物の進化(約5億年前?)**
→ 緑藻類から進化したとされる。
→ **維管束(道管・師管)**の発達により、水分と栄養の輸送が可能に。
→ **クチクラ(表皮の蝋層)**で乾燥を防ぎ、**気孔**でガス交換を行う。
→ コケ植物 → シダ植物 → 裸子植物 → 被子植物へと多様化。
- **両生類の上陸(約3億7千万年前)**
→ 肺呼吸の獲得、四肢の発達、皮膚の湿潤維持などが必要条件。
→ **ティクターリク(Tiktaalik)**は魚類と両生類の中間的特徴を持つ“ミッシングリンク”。
→ 陸上での繁殖は困難だったため、**水辺に依存する生活様式**が続いた。
- **陸上進出の意義**
→ **新たな生態系の創出**(森林・草原・湿地など)
→ **酸素濃度の高い環境での代謝効率の向上**
→ **捕食者の少ない空間での適応放散**
|