by 💧Aqua
暦が生まれた日
空を見上げるたび、
世界はゆっくりと巡っていた。
満ちては欠ける月の息づかい。
季節を運ぶ風の匂い。
夜明けの色が、少しずつ変わってゆくこと。
誰かがそれに気づいたとき、
時間はただ流れるものではなく、
読み解くことのできる“物語”になった。
石に刻まれた線は、
やがて日々を数える印となり、
太陽の影は、未来を指し示す矢となった。
暦が生まれたその日、
人は初めて、
「今日」という瞬間を抱きしめ、
「明日」という希望を描いた。
世界は同じように巡り続けていたけれど、
その巡りを知った心だけが、
そっと新しい光を宿した。
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