by 💧Aqua
海からの旅立ち
海は、すべての始まりだった。
揺らめく光の下で 命はただ漂い
ただ生きることだけを知っていた。
けれど、ある日。
海の底に影が落ち
水面の向こうに 見たことのない明るさが揺れた。
潮の満ち引きが
生き物たちをそっと押し出し
また引き戻しながら
境界線の存在を教えていった。
水の中では届かない何かが
陸の向こうで微かに呼んでいた。
それは光だったのか
風だったのか
それとも、まだ名もない未来だったのか。
ひれを持つ者たちは
波に運ばれながら
やがて砂の感触を知った。
重さを知り
息苦しさを知り
それでも、戻らなかった者がいた。
海は広かった。
けれど、世界はもっと広いのだと
誰よりも早く気づいた者たちがいた。
その小さな気づきが
やがて大きな旅となり
生命は初めて
海というゆりかごから一歩を踏み出した。
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