by 💧Aqua
![殻を持つ者たち(軟体動物の始まり)]()
海の底で
カンブリアの光が揺れていたころ
ひとつの命が 、 そっと目をひらいた。
それは 、骨を持たぬ体。
けれど 、 柔らかなその身には
筋肉と神経の網が張り巡らされ
世界を感じ 、 動き 、 応える力が宿っていた。
ある者は
石灰質の殻をまとうことで 、 外敵から身を守り
海底に静かに根を下ろすように生きた。
それが、 貝類やカタツムリたちの始まり。
ある者は
殻を脱ぎ捨て 、 柔軟な体で自由を選び
海の闇を泳ぎ 、 岩陰に知恵を宿した。
それが 、 タコやイカ 、 ウミウシ 、 ナメクジたちの道。
彼らは
外骨格を持たずとも 、 巧みに環境に適応し
カメラ眼や擬態 、 ジェット推進といった進化の妙技を手に入れた。
タコの腕には 、 独立して動く神経節があり
イカは高速で泳ぎ 、 色を変えて仲間と語る。
ウミウシは 、 毒をまとうことで殻の代わりとし
クリオネは 、 極寒の海を舞う天使のような捕食者となった。
やわらかさは 、 弱さではない。
それは 、 変化に応じる力。
殻を持つことも 、 捨てることも
すべては 、 生きるための選択だった。
軟体動物たちの進化の道は
「適応とは何か」「強さとは何か」を問いかける
静かで 、 したたかな一滴。
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