IV. 人類の物語編 |
滴048|大地を歩く小さな影 |節足動物の台頭 |
かつて、海の底で生まれた命が
殻をまとい、節を刻み
やがて、脚を増やし
世界を歩きはじめた。
それが、節足動物――
外骨格に守られ、関節を持つ体。
硬さと柔軟さを併せ持つ、進化の傑作。
甲殻類は、海の森を這い、泳ぎ、跳ねる。
エビは砂を掘り、カニは岩を這い
シャコは拳で貝を砕き
フジツボは岩に根を張り、海の流れを食べる。
クモガタ類は、陸に上がり、静かに獲物を待つ。
クモは糸を張り、サソリは毒針を構え
ダニは目に見えぬ世界で
命の隙間をすり抜ける。
昆虫たちは、空を得た。
三つの体節、六本の脚、そして二対の翅。
チョウは花を渡り、ハチは蜜を運び
アリは群れをなし、森を築く。
彼らは、地球の支配者となった。
多足類は、土を耕す影の民。
ムカデは獲物を追い
ヤスデは落ち葉を食み
大地の循環を支える。
小さくとも
その数は、星のごとく。
その進化は、止まることを知らない。
節足動物――それは、変化に最も強い命のかたち。
殻の中に、節の中に
この星の歴史が刻まれている。