by 💧Aqua
大地を満たす草木たち
森に花が咲き、色と香りが満ちたあと
植物たちは、さらなる地平を目指した。
それは、森の外――開けた大地だった。
そこに現れたのが、草本植物(herbaceous plants)たち。
木のように幹を持たず
柔らかな茎と葉で、風に揺れながら生きる植物たちだ。
イネ科(Poaceae)の仲間――
野生の草本植物たちは、地を這うように広がり
やがて草原(prairie, savanna)をつくりはじめた。
彼らは、乾燥地や寒冷地、風の強い場所にも適応し
その姿は、まるで緑の波。
大地を覆い尽くすように、広がっていった。
この変化は 動物たちにも大きな影響を与えた。
草原に現れたのは
フェナコドゥス(Phenacodus)やウインタテリウム(Uintatherium)
ヒラコテリウム(Hyracotherium)といった
初期の草食哺乳類たち。
彼らは、まだ小さく 素早く
新たに広がる草の海を駆け抜けながら
やがてウマやシカ、ゾウ、サイなどへと進化していくことになる。
草は、食べられても枯れない。
根を地中深くに張り、再び芽を出す。
むしろ、食べられることで、種が運ばれ
より広く、より遠くへと命を広げていった。
また、マメ科(Fabaceae)の植物たちは
根に根粒菌(Rhizobium)を宿し
空気中の窒素を取り込んで、土を肥やすという
共生の知恵を身につけた。
こうして、草木たちはただ生きるだけでなく
土を育て、動物を養い、風景を変えていく存在となった。
一方で 草木の中には
人の手によって姿を変えていく者たちも現れはじめた。
ルフィポゴン(Oryza rufipogon)は
のちにイネ(Oryza sativa)となり
テオシント(Teosinte)は
トウモロコシ(Zea mays)へと育てられた。
サッカルム・ロブスタム(Saccharum robustum)は
サトウキビ(Saccharum officinarum)として甘さを極めていく。
それは 植物がただ自然の中で進化するだけでなく
人と共に歩む新たな進化の道の始まりだった。
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