Aquaの万物創世記【かぎけんWEB】

 II.生命の誕生編

 滴015|陸に上がったものたち (植物と両生類の上陸)


by 💧Aqua

陸に上がったものたち
陸に上がったものたち、イラスト by Aqua


それは、約4億7千万年前――

まだ大地が、岩と砂と風に支配されていたころ。

海の中で生まれた命たちは、
ついに“陸”という新たな世界に目を向けはじめた。


最初に陸へ向かったものたち ―― 植物

海藻の仲間から進化したコケ植物が、
湿った岩肌に根を下ろし、
陸に“緑”という色をもたらした。

植物たちは、“乾燥”という試練に立ち向かうために――

- 体の表面を守るクチクラ(蝋の膜)
- 水を運ぶ維管束
- 胞子や種による繁殖戦略
を手に入れた。

やがて、シダ植物・トクサ・ヒカゲノカズラなどの維管束植物が現れ、
根・茎・葉を発達させ、
水を運び、光を求めて空へと背を伸ばしていった。

こうして植物たちは、
命の緑を大地に広げる“陸の基盤”をつくりあげた。


約3億9千万年前前――🐟泳ぎだしたものたち

デボン紀の終わりごろ。
海では、すでに多様な魚たちが泳ぎ、
サンゴ礁の間をすり抜け、
サンゴ礁の間で捕食と逃走のドラマが繰り広げられていた。


約3億7千万年前――陸をめざした魚たち

その中に、海の外へ目を向けはじめた者たちがいた。

肉鰭類(にくきるい)――
やがて四肢動物(両生類・爬虫類・哺乳類)の祖先となる魚たち。

彼らは、ヒレの内部に骨と関節を持ち、
原始的な肺を備え、
水と陸のあいだを行き来できる最初の脊椎動物だった。

干上がった水たまりの中で、
ぬかるんだ泥を這い出した魚たち――

・イクチオステガ
・ティクターリク
・アカントステガ

陸は過酷だった。
乾燥、重力、紫外線。
けれどそこには、
新しい光と空気と、未踏の空間が広がっていた。

命は、水の記憶を抱えたまま、
植物がつくった 陸の舞台”へと足を踏み出した。

ヒレは、やがて“足”(骨を持つ四肢)へと変わり、
肺は空気を吸う器官として発達し、
彼らは水辺に依存しながらも、
陸上へと進出する“橋渡し”の存在となった。

そして、 物語は
「陸をめざした魚たち|爬虫類たちの祖先」へと続いていく。


しずくの注釈|科学メモ

陸上植物の進化(約5億年前〜)

 ・緑藻類から進化したと考えられる
 ・最初期の陸上植物はコケ植物(約4億7千万年前)
 ・続いてシダ植物・裸子植物が登場(デボン紀)
 ・維管束(道管・師管)の発達で水分・栄養輸送が可能に
 ・クチクラで乾燥を防ぎ、気孔でガス交換を行う

陸上生態系の基盤形成

 ・植物が光合成で酸素供給
 ・土壌形成が進み、他の生物の生息環境を整備

両生類の上陸(約3億7千万年前)

 ・肺呼吸の獲得
 ・四肢の発達
 ・皮膚の湿潤維持
 ・ティクターリク(Tiktaalik)は四肢動物の中間的特徴を持つ重要な化石
 ・陸上繁殖が困難なため、水辺に依存する生活が続いた

陸上進出の意義

 ・森林・湿地など新たな生態系の創出
 ・酸素濃度の高い環境で代謝効率が向上
 ・捕食者の少ない空間で適応放散が進む


植物たちの声

わたしは、シダ。
水の記憶を、葉の先に宿す。
霧の降りる朝、
胞子をそっと放ち、
風に乗るその子らが
まだ見ぬ地へ根を下ろすことを願う。

わたしは、トクサ。
節を重ね、空へと伸びる。
茎の中を水が走るたび、
わたしはこの地に、
“高さ”という夢を刻む。

わたしは、ヒカゲノカズラ。
地を這い、岩を抱き、
やがて立ち上がる。
乾いた風にさらされても、
蝋の表皮が光と命を守る。

わたしたちは語らずに語る。
気孔をひらき、
空気と命を交換しながら、
この星に緑の詩を刻んでいく。

陸に上がった植物と両生類は、
大地に“生命の舞台”をつくりあげた。

その舞台の上で、
やがて新たな挑戦者たち――
爬虫類たちが、完全な陸上生活へと踏み出していく。

次の滴016は、
「乾いた大地を征したものたち」
へと続いていく。


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