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ブルズアイ構造の解析

Abstract

電磁波解析ソフトKeyFDTDを使用してテラヘルツデバイスの一つであるブルズアイ構造を解析した。ブルズアイ構造はテラヘルツ波のイメージング技術応用に向けて、空間分解能の向上させることを目的としている。中心の微小開口の周囲に付加した回折格子(同心円状の溝)に共鳴することで、特定周波数帯において高い透過特性を示す。論文の実験とFDTD解析の結果を比較し、実験の傾向と一致する良好な結果が得られた。また、共鳴波長でBull’s eye構造両面の回折格子に共鳴する様子を確認した。

 

1. 解析概要

テラヘルツ波のイメージング技術への応用には空間分解能の確保が重要であり、一般に微小開口をもつ金属板が用いられる。このデバイスは透過率が低いため、Bull’s eye構造は、微小開口を中心に同心円状の回折格子を付与している。特定周波数において回折格子での共鳴により、透過特性が向上する。また透過後側にも回折格子を付与すると電磁波が直進性の高いモードに変化して透過伝播する。本文書では、両面に回折格子を持つBull’seye構造をFDTD法によりシミュレートした結果を報告する。

2.解析条件

Bull’s eye構造の形状をFig.1に示す。Bull’s eye構造は完全導体とした。Table.1の解析条件のもと、電磁波解析ソフトKeyFDTDTRで解析、透過スペクトルを導出した。

ブルズアイ構造の形状

Fig.1 Bull’s eye structure

Table.1 Analysis condition
Frequency $1.25~1.75[THz]$
Boundary condition $x,z: PERIODIC, y:PML$
Computational domain $3000\times1400\times3000[nm]$
Mesh size $x,z:16.7[\mu m]=\lambda /160~480$
$y:5[\mu m]=\lambda/34.3~48.0$
Timestep $4.18\times 10^{-18}[sec]$

3.解析結果

透過スペクトルはBull’s eye構造透過後のポインティングベクトルから導出した。電磁波の進行方向成分のポインティングベクトルを進行方向と垂直な平面で総和し、透過量を求めた。FDTD法による解析と文献[1]の実験結果の比較をFig.2に示す。FDTD解析では、λ=213[μm]付近にピークが得られた。文献[1]の実験結果より長波長側にシフトしているが、よく一致している。
ピークが長波長側にシフトした理由は、文献のBull’s eye構造の厚みが不明な点や、メッシュ幅を原因とする形状誤差の影響が考えられる。また、透過量の少ないλ=240[μm]と透過量の少ないλ=213[μm]の電界強度分布をFig.3に示す。中央にBull’s eye構造があり、左から右に電磁波が進行している。Fig3(a)から、共鳴しない波長ではBull’s eye構造で電磁波がほぼ全て反射されている。Fig.3(b)から、共鳴する波長では透過前に加え、透過後の回折格子でも共鳴を起こし、直進性の高いモードに変化して透過伝播する様子が見て取れる。

実験値と解析結果の透過スペクトル比較

Fig.2 Experimental and simulated transmittance spectra

波長213μmの電界分布

(a) $\lambda = 213[\mu m]$

波長240μmの電界分布

(b) $\lambda = 240[\mu m]$

Fig.3 Electric field distribution

4.まとめ

電磁波解析ソフトKeyFDTDを用いてBull’s eye構造のシミュレーションを行い、実験の傾向と一致する良好な結果が得られた。また、共鳴波長でBull’s eye構造両面の回折格子に共鳴する様子が確認できた。

[1] 三瓶有輝他, “表面波共鳴テラヘルツ波共振器デバイスの動作解析”,電気関係学会東北支部連合大会講演論文集,2013/8
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