電磁波解析(マイクロ波)SiCバルクの焼成
Abstract
セラミックの中でもSiC(炭化カルシウム)はマイクロ波をよく吸収する物質で、マイクロ波加熱による焼成が盛んに研究されています。そこで、本ページでは、SiCバルク焼成モデルを作成し電磁波解析を行った事例をご報告します。
電磁波シミュレーション
数値シミュレーションには弊社が開発した電磁波解析ソフトKeyFDTDを使用しました。
解析モデルと解析結果-ベクトル
TE102共振器を用いたSiCバルク焼成のシミュレーションモデル及び解析結果を図1に示します。赤く示された高電界の位置がSiCバルクに重なっています。この時、SiCバルクにて効率よくエネルギーが消費され昇温します。実際には、管内波長通りに設計されたTE102共振器ではこのように高電界がSiCバルクに重なりません。それは、SiCバルクがマイクロ波をよく吸収するので共振器内のQ値が変化するからです。Q値の補正には共振器の幅を変化させることなどが挙げられます。シミュレーションでは共振器モデルの寸法を変化させ、SiCバルクにて効率よくエネルギーが消費される寸法を検討することが簡便に行えます。
Fig.1 TE102共振器を用いたSiCバルク焼成のシミュレーションモデル及び解析結果
解析結果- ポインティングベクトル
同シミュレーションから得られたポインティングベクトルを図2に示します。
ポインティングベクトルはエネルギー流束を可視化したものです。 矢印の向きがエネルギーの流れを表します。
SiCバルク周辺に注目すると、左方から侵入するマイクロ波エネルギーと右方から侵入するマイクロ波エネルギーの様子が一目瞭然です。
ポインティングベクトルを図示することで、電磁波エネルギーの流れを意図した設計の評価が行えます。
Fig.2 TE102共振器でSiCバルクを焼成するシミュレーションの途中結果
以上、シンプルな事例ではありますが、このような数値シミュレーションを行うことにより、マイクロ波加熱による焼成が可視化されますので、皆さまのご研究にお役立て頂ければ幸いです。
SiCバルクの応用例
SiCは表面摩擦が小さく、表面張力が大きいのでミドルエンド以上の釣り竿の糸を通すガイドに使用されています。糸が接する所のプリッとした感じの材料はSiCです。但し割と製造コストがかかるので安い釣り竿にはついていません。
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