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リチウム電池の電極被覆のSERSシミュレーション

Abstract

電磁波解析ソフトKeyFDTDでリチウムナノロッドが周期的に並ぶ面に光を垂直入射したときの表面増強効果をシミュレーションした。リチウム系電池は放電するに従って電極表面にリチウムの被覆を生じ性能が劣化する。この被覆はナノオーダーのリチウムロッドが周期的に並ぶ構造で、SERS(Surface Enhanced Raman Spectroscopy)による状態把握が試みられている1)。SERS強度は入射光の波長及び構造による光の表面増強効果と直接相関する。この現象をシミュレーションし、波長による表面増強効果の違いを明らかにし実験結果と同様の関係が得られることが確認された。

The surface enhanced effect by the normal incidence of light to the surface on which Lithium nano rods stand periodically was simulated by the electromagnetic wave simulator KeyFDTD. The electrodes of Lithium-based batteries are covered by Lithium as the batteries discharge and the characteristics of them are spoiled. It is reported by Tang et al. that the structure of the cover consists of the periodically disposed Lithium nano rods. Tang also reported their attempt to observe the condisions by SERS ( Surface Enhanced Raman Spectroscopy ). The surface enhanced effect of the light by wave length of the incident light and the structure decides the intensity of the SERS. We simulated this phenomenon and clarifid the difference of the effect of surface enhancing due to the wave length to obtain the sufficient result to explain the experimental results.

 

1. 解析概要

リチウムイオン電池に代表される、リチウムを使用した電池は放電中に電極表面をリチウム(Li)が被覆し性能劣化を引き起こす。この被覆はナノスケールで発生し、in-situなセンシング技術にSERSが期待されている。本レポートでは、LiナノロッドのSERSについて、表面増強効果をFDTD法でシミュレートした結果を報告する。

 

2.解析条件

Liナノロッドのモデル図をFig.1に示す。y方向に電界成分Eyを持つ可視光の偏波をz軸正側から負側に向けて入射する。x、y方向に周期境界条件を適用し、ロッド間隔60nmで平面上に正方に並んだLiナノロッド被覆基板をシミュレーション対象とした。基板は完全導体、Liの複素屈折率はDrudeモデル(eq.1)で近似した。

解析モデル

Fig.1 Simulation model

$$ \varepsilon_r(\omega) = \varepsilon_\infty + \frac{\omega^2_{p}}{\omega(j\nu_c-\omega)}・・・(eq.1) $$ $\omega$ は入射光の角周波数、分散パラメータは$\varepsilon_\infty = 1.0$、$\omega_p = 9.4\times10^{15}$、$\nu_c = 2.8\times10^{14}$ とした。Table.1の解析条件で、電磁波解析ソフトKeyFDTDTRを用いたシミュレーションを実行し1波長積算した電界分布を得た。

 

Table.2 Analysis condition
Incident wave $ 469.89, 563.52 [THz]$
Boundary condition $ x,y:PERIODIC, z:MUR1 $
Computational domain $300\times300\times2100[nm]$
Mesh size $5[nm]=λ/106,128 = \lambda/82,98(in\ water)$
Timestep $8.37×10^{-18}[sec](563.52[THz])$
$8.35×10^{-18}[sec](469.89[THz])$

 

3.解析結果

波長638nm又は532nmの電磁波を照射した際の、LiナノロッドのX中心断面の電界分布をFig.2に示す。638nmではロッドの高さ方向に等間隔に強電界が現れた。一方532nmではロッドの頭頂に強電界が現れたものの脚部にかけて著しい減衰が認められた。ラインコンターを用いてロッド表面の様子を明瞭にした図がFig.3である。638nmではロッド全体にかけて内部電界がみられるが、532nmでは頭頂部のみにしか見られない。内部電界はLiの吸光を意味し、638nmのラマン散乱スペクトル強度が532nmより強いという実験結果[1]を説明する。

波長ごとの電界分布比較

Fig.2 Electric field distribution with contour

波長ごとのラインコンター比較

Fig.3 Electric field distribution with contour line

4.まとめ

電磁波解析ソフトKeyFDTDを用いてLiナノロッドのSERSをシミュレートした。実験結果をよく説明する結果が得られた。

[1] S. Tang et al.,“An electrochemical surface-enhanced Raman spectroscopic study on nanorod-structured lithium prepared by eletrodeposition,”J. Raman Spectrosc.2016, 47, 1017-1023
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