電磁波解析ソフトKeyFDTDを使用して蒸留水とNaCl水溶液のマルチモード加熱をシミュレーションしました。
蒸留水はDebye型の分散を示す誘電体です。一方、電解液のNaCl水溶液は、Debye型の分散に加えてある周波数以下で導電性を持ちます。
電解液の物性値はDebyeモデルとDrudeモデルによって近似できます。
2.45GHzと5.8GHzで蒸留水と電解液をマルチモード加熱し、SAR(Specifications Absorption Rate)の分布を比較しました。
2.45GHzの蒸留水では液体の中心、2.45GHzの電解液と5.8GHzの蒸留水、電解液では外縁部で吸収されています。
2.45GHzでは電解液に電流が流れることで、蒸留水と比べて電解液のSAR分布が大きく変化します。
5.8GHzでは電解液に電流は流れないため、蒸留水と電解液でSAR分布の変化はほぼありません。
また、どちらの周波数も蒸留水と比較して電解液は局所的なSARが大きくなる傾向が得られました。