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単分散白金ナノ粒子の再現に必要な粒子間隔の調査

Abstract

電磁波解析ソフトKeyFDTDを用い紫外域(λ=200~400[nm])における水中の白金ナノ粒子について単分散の再現に必要な粒子間隔を調査した。粒子間隔変更に伴う解析領域の変化を考慮した規格化透過率で比較、検討した。水中の白金ナノ粒子では粒径の3倍以上の粒子間隔をとることで2%程度の誤差で単分散を再現できることが示された。

The particle spacing required to reproduce monodispersion of platinum nanoparticles in water in the UV region (λ = 200-400 [nm]) was investigated using the electromagnetic wave analysis software KeyFDTD. The transmittances standardized by the cross-sectional area of analysis were compared between each particle spacing 20nm ~ 100nm Monodispersion of platinum nanoparticles can be reproduced with an error of about 2% by spacing the particles more than three times their size.

 

1. 解析概要

単分散した金属ナノ粒子をシミュレーションする場合、効率化するため周期境界条件を用いる。この時、十分な粒子間隔を確保することが重要である。水中の白金ナノ粒子に関してこの粒子間隔を電磁波解析ソフトKeyFDTDを用いて検討する。

 

2. 解析条件

解析モデルをFig.1に示す。

解析モデル
Fig.1 Simulation model

水中(n=1.33)に粒径20[nm]の白金ナノ粒子が周期的に整列した1層の粒子層を対象とする。粒子間隔は20、40、60、80、100[nm]とし、解析領域のx、y方向はそれぞれ30~120[nm]とし、z方向を300[nm]とする。各方向メッシュ幅は0.625[nm]である。境界条件はx、y方向が周期境界条件、z方向が吸収境界条件MUR1とした。白金の複素誘電率は文献[1]の分散モデルで近似した。

白金の物性値
Fig.2 Relative permittivity of Platinum

白金の複素誘電率と分散モデルで近似した複素誘電率をFig.2に示す。中心周波数1500[THz]のガウシアンパルスを入射し、入射波形と白金ナノ粒子層を透過した波形のフーリエ変換後のエネルギー比から紫外域(λ=200~400[nm])の透過スペクトルを算出した。

 

3. 解析結果

Fig.3に各粒子間隔のシミュレーションで得た透過率スペクトルを示す。

透過率スペクトル
Fig.3 Transmittance spectra for the distance between each nanoparticle

各ケースで反射率は3%以下で透過スペクトルは波長230nm近傍にピークを持つ吸収量が主に影響している。各ケースで電磁波進行方向に直交する解析領域断面Sに白金ナノ粒子形状を投影した面積Spの比率が異なる。これを考慮しそれぞれを直接比較するため、各透過率を(S-Sp)/Sで定義される透過面積パラメータで除して粒子形状が投影されない透過面積を考慮した規格化透過率TsをプロットしたのがFig.4である。
Tsは粒子間隔によらず波長が粒子径に比べて十分長い場合は回折による透過により1よりも大きくなることに注意されたい。理想的な単分散に最も近い状況は粒子間隔100nmの場合であり、このケースとの比較でそれぞれがどの程度単分散に近いかを評価する。
各波長で粒子間隔が60nm以上の場合100nmとの比較で±2%程度の差に留まる。一方で粒子間隔40nmの場合±5%程度であり、粒子間隔20nmの場合±10%以上異なる。短波長側の差は隣接粒子による電界強度増強の影響である。長波長側の誤差は投影面積で透過率を規格化しているために、波長が粒子径より十倍以上長い場合の透過現象を無視していることが原因である。

規格化透過率スペクトル
Fig.4 Standardized transmittance spectra for the distance between each nanoparticle

 

4. まとめ

水中の白金ナノ粒子について単分散の再現に必要な粒子間隔を電磁波解析ソフトKeyFDTDで検討した。以下の知見が得られた。
・透過面積パラメータを導入し粒子間隔の異なるシミュレーション結果に基づく透過率を直接比較した。
・粒径の3倍以上の粒子間隔をとることで2%程度の誤差で単分散を再現できることが示された。
・透過面積パラメータを用いた検討は粒子径が波長に比べて小さい場合には不向きであることが分かった。

 

参考文献

[1] 株式会社科学技術研究所, 科学技術部, “白金ナノ粒子のFDTD法による光学特性シミュレーション”, 2020, https://www.kagiken.co.jp/analysis-keyfdtd/archives/39

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