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電磁波解析

定在波(2)

前回は電磁波の定在波を1次元電磁波解析ソフトKeyFDTDちゃんで可視化しました。
今回は定在波を式で表します。

まずは計算する物理の条件を設定しましょう。
真空の1次元Z空間中を、電磁波が原点(z=0)からZ軸正方向に伝播すると想定します。
この電磁波は振幅Emax、波長λ、初期位相φ1=0とします。また真空中を伝播するのでその伝播速度は光速cです。
さらにz=Zmaxの位置にPEC(Perfect Electric Conductor、完全電気導体)の壁があるとします。
PECは全ての波長の電磁波を100%反射する仮想的な物質で、PECの位置では常に電界E=0です。

上記条件のもと、定常状態における0<=z<=Zmaxの電磁波をPEC壁への入射波と反射波に分けると次のように表せます。
E1(z,t)は入射波の電界強度、E2(z,t)は反射波の電界強度のことです。

    \[E_1(z,t) = E_{max} sin({2 \pi \over \lambda}(ct - z)+ \phi_1)\]

    \[E_2(z,t) = E_{max} sin({2 \pi \over \lambda}(ct + z)+ \phi_2)\]

条件からφ1=0です。またPEC壁の位置で電界E=0であることから、反射波の初期位相φ2が求められます(注)。
入射波と反射波の合成波をEsw(z,t)と表すと

    \[E_{sw}(z,t) = E_1(z,t) + E_2(z,t)\]

    \[= E_{max} sin(({2 \pi \over \lambda}ct + {\phi_1 + \phi_2 \over 2})- ({2 \pi \over \lambda}z - {\phi_1 - \phi_2 \over 2})) + E_{max} sin(({2 \pi \over \lambda}ct + {\phi_1 + \phi_2 \over 2})+ ({2 \pi \over \lambda}z - {\phi_1 - \phi_2 \over 2}))\]

    \[= 2 E_{max} sin({2 \pi \over \lambda}ct + {\phi_1 + \phi_2 \over 2}) cos({2 \pi \over \lambda}z - {\phi_1 - \phi_2 \over 2})\]

と和積の公式を使用して変形できます。

    \[E_{swmax}(z) = 2 E_{max} cos({2 \pi \over \lambda}z - {\phi_1 - \phi_2 \over 2})\]

を導入すると

    \[ E_{sw}(z,t) = E_{swmax}(z) sin({2 \pi \over \lambda}ct + {\phi_1 + \phi_2 \over 2})\]

と変形できます。
この式は、どのZ座標に注目しても同じ初期位相、角振動数で振動しているという定在波の性質を表しています。
またE_{swmax}(z)=0の位置が節、E_{swmax}(z)= 2 E_{max}の位置が腹です。

以上で、電磁波の世界ではPEC壁への入射波と反射波によって定在波が現れることを数学的に確認できました。

注:
PEC壁の位置で電界E=0とは即ちE_{sw}(Z_{max},t) = 0であるから

    \[E_2(Z_{max},t) = - E_1(Z_{max},t)\]

    \[= - E_{max} sin({2 \pi \over \lambda}(ct - Z_{max}))\]

    \[= E_{max} sin({2 \pi \over \lambda}(ct - Z_{max}) - \pi)\]

    \[= E_{max} sin({2 \pi \over \lambda}(ct + Z_{max}) - 2 \pi({1 \over 2} + {2 Z_{max} \over \lambda}))\]

したがって

    \[\phi_2 = - 2 \pi({1 \over 2} + {2 Z_{max} \over \lambda})\]

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