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表面プラズモン共鳴を利用したSiナノフォトダイオードの解析

表面プラズモン共鳴を利用したSiナノフォトダイオードの解析

光通信や情報処理の分野で光信号を電気信号へ変換するデバイスにフォトダイオードが挙げられる。動作の高速化に伴い高効率な光電変換デバイスが求められている。本報では効率化のためにAg周期構造による表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)を利用したMSM(Metal-Semiconductor-Metal)型フォトダイオード[1]を電磁波解析ソフトKeyFDTDでシミュレートした。

2. 解析条件

2次元解析とし、Fig.1に示すモデルで解析した。SiON光導波路を通過する光を厚さ240[nm]のSi吸収層に光結合する。SiON光導波路とSi吸収層の界面に幅90[nm]、厚み30[nm]、周期180[nm]のAg周期構造を付与し、SPRにより光結合を効率化する。

Siフォトダイオードの解析モデルFig.1 Simulation model

物性値はSiON(n=1.75)、SiO2(n=1.45)を固定値で与え、AgはLorentzモデル(eq.1)、SiはDrude-Lorentzモデル(eq.2)で与えた。(eq.1)のパラメータはTable.1、(eq.2)のパラメータはTable.2とした。

    \[\varepsilon_r(\omega) = \varepsilon_\infty + \Delta\varepsilon \frac{\omega^2_p}{(\omega_p^2+j\omega\delta_p-\omega^2)}\cdots(eq.1)\]

Table.1 Dispersion parameter(eq.1)
εΔεωp[rad/sec]δp[rad/sec]
12.0 1.00 4.00×1015 1.20×1014

Agと分散モデルの複素誘電率Fig.2 Agと分散モデルの複素誘電率

    \[\varepsilon_r(\omega) = \varepsilon_\infty +    \frac{\omega_{p1}}{\omega(j\nu_c-\omega)} + \Delta\varepsilon \frac{\omega^2_{p2}}{(\omega_{p2}^2+j\omega\delta_{p}-\omega^2)}\cdots(eq.2)\]

Table.2 Dispersion parameter(eq.2)
εωp1[rad/sec]νc[rad/sec]Δεωp2[rad/sec]δp[rad/sec]
2.00 1.33×1016 9.94×1013 0.300 6.80×1015 1.02×1015

Siと分散モデルの複素誘電率Fig.3 Siと分散モデルの複素誘電率

Table.3の解析条件で、電磁波解析ソフトKeyFDTDを用いてシミュレーションを実行し、定常状態における1波長積算した電界分布を得た。

Table.3 Analysis condition
Incident wave Sine wave, TE/TM mode, λ = 850[nm]
Boundary condition x,z:PML
Computational domain2000×18000[nm]
Mesh size10[nm]=λ/85
Timestep1.676×10-17[sec]

3. 解析結果

TEモード、TMモードの波長850nmの電磁波を入射した際の電界強度分布を示す。

TEモードの解析結果Fig.4 Electric field distribution (TE mode)
TMモードの解析結果Fig.5 Electric field distribution (TM mode)

SiON光導波路の入出力端においてポインティングベクトルから導出した透過率は、TEモードで約90%、TMモードでは約30%を示した。TEモードでは入射光はSi吸収層でほぼ吸収されず、Ag周期構造部分も光結合への寄与は見られない。TMモードではAg周期構造部分でSiON-Si界面に電界が集中し、Si吸収層で入射光が吸収されている。SiON光導波路中からSi吸収層への近接場光がAg周期構造のSPRにより増強され、効率良く光結合されることが確認できる。

4. まとめ

SPRを利用した導波路結合型Siフォトダイオードを電磁波解析ソフトKeyFDTDでシミュレートした。シミュレーションからAg周期構造によるSPRおよび光結合の効率化が確認された。

[1] J. Fujikata et al., “Waveguide-integrated Si nano-photodiode with surface-plasmon antenna and its application to on-chip optical clock distribution,” Appl. Phys. Express, 1 (2008) 022001.