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電磁波解析における金属の分散性近似

金属は可視光帯で分散性を示すため、シミュレーションで取り扱う際は各物質の分散性を精度良く再現する必要があります。
電磁波解析ソフトKeyFDTDではDebye、Drude、Lorentzの分散モデルを組み合わせて物性値を精度良く近似します。

  • expand_less金の複素屈折率と分散モデルによる近似

    金は可視光帯で分散性があり、負の誘電率を持つ物質です。
    金は550nm付近から短波長の緑~青色は反射率が低下するため、黄~橙色に見えるいわゆる金色を示します。金を数十nmのナノ粒子に加工すると、プラズモン共鳴により特定波長を吸収してステンドグラスで知られるような黄色や赤、紫色といった色を示します。
    またナノスターやナノロッドといった球形状以外では、 可視~近赤外まで吸収ピークが変更できることが報告されています[1]

    金と分散モデルの複素屈折率
    金の複素屈折率と分散モデルによる近似

    分散モデル(Drude-Lorentz-Lorentz)

    Drude-Lorentz-Lorentzモデル
     

    分散モデルに与えたパラメータ一覧
    分散モデル 設定する係数 変数 数値
    共通 周波数∞の誘電率 ε 6.00
    Drudeモデル プラズマ角周波数[rad/sec] ωp1 1.40×1016
    衝突周波数[rad/sec] νc 9.80×1013
    Lorentzモデル 静電界の誘電率から周波数∞の誘電率を引いた値 ∆ε2 2.00
    ∆ε3 0.600
    共振周波数[rad/sec] ωp2 5.50×1015
    ωp3 4.30×1015
    減衰係数[rad/sec] δp2 2.20×1015
    δp3 8.17×1014

    電磁波解析ソフトにおける設定

    Gold/RefractiveIndex (FrequencyDispersion)
    Gold/EpsInf 6.00
    Gold/FrequencyDispersion(1) Drude
    Gold/OmegaP(1) 1.40e16
    Gold/OmegaNu(1) 9.80e13
    Gold/FrequencyDispersion(2) Lorentz
    Gold/DeltaEps(2) 2.00
    Gold/OmegaP(2) 5.50e15
    Gold/DeltaP(2) 2.20e15
    Gold/FrequencyDispersion(3) Lorentz
    Gold/DeltaEps(3) 0.600
    Gold/OmegaP(3) 4.30e15
    Gold/DeltaP(3) 8.17e14
    
    

    [1] Xuming Zhang et al.,"Plasmonic photocatalysis",Rep. Prog. Phys. 76 (2013) 

  • expand_less銀の複素屈折率と分散モデルによる近似

    銀は可視光帯ではほぼ全域で反射率が高く、紫外域付近から反射率が低下するため、白に近い色を示します。銀の可視光~赤外域の物性はDrudeモデルで良く近似できます。
    銀はナノ粒子に加工すると他の金属より鋭いプラズモン共鳴を示すため、局在表面プラズモン共鳴や表面増強ラマン散乱に有効です。また、銀ナノ粒子は400~500nmにピークがあります。銀ナノ粒子は上記の光学特性の他に優れた熱・電気伝導性や殺菌力を持つため回路や抗菌剤などにも使用されます。

    銀と分散モデルの複素屈折率
    銀の複素屈折率と分散モデルによる近似

    分散モデル(Drude-Lorentz)

    Drude-Lorentzモデル

    分散モデルに与えたパラメータ一覧
    分散モデル 設定する係数 変数 数値
    共通 周波数∞の誘電率 ε 2.00
    Drudeモデル プラズマ角周波数[rad/sec] ωp1 1.30×1016
    衝突周波数[rad/sec] νc 7.36×1013
    Lorentzモデル 静電界の誘電率から周波数∞の誘電率を引いた値 ∆ε2 1.00
    共振周波数[rad/sec] ωp2 7.00×1015
    減衰係数[rad/sec] δp2 2.10×1015

    電磁波解析ソフトにおける設定

    Silver/RefractiveIndex (FrequencyDispersion)
    Silver/EpsInf 2.00
    Silver/FrequencyDispersion(1) Drude
    Silver/OmegaP(1) 1.30e16
    Silver/OmegaNu(1) 7.36e13
    Silver/FrequencyDispersion(2) Lorentz
    Silver/DeltaEps(2) 1.00
    Silver/OmegaP(2) 7.00e15
    Silver/DeltaP(2) 2.10e15
    
  • expand_less銅の複素屈折率と分散モデルによる近似

    銅は赤~橙の色を多く反射し、600nm付近から反射率が低下します。金より長波長側で反射率が低下し始めるため、金より赤~橙よりの色を示します。屈折率の変化が複雑なため、多くの分散モデルを組み合わせて近似します。 ナノ粒子は回路パターンなどへ利用されています。銅と同じく導電性に優れる銀と比較して、耐マイグレーション特性や、低コストである点が優れていますが、酸化しやすいという欠点を抱えています。

    銅と分散モデルの複素屈折率
    銅の複素屈折率と分散モデルによる近似

    分散モデル(Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentz)

    Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentzモデル

    分散モデルに与えたパラメータ一覧
    分散モデル 設定する係数 変数 数値
    共通 周波数∞の誘電率 ε 6.00
    Drudeモデル プラズマ角周波数[rad/sec] ωp1 1.40×1016
    衝突周波数[rad/sec] νc 1.26×1014
    Lorentzモデル 静電界の誘電率から周波数∞の誘電率を引いた値 ∆ε2 2.00
    ∆ε3 0.400
    ∆ε4 1.00
    共振周波数[rad/sec] ωp2 4.50×1015
    ωp3 3.60×1015
    ωp4 6.00×1015
    減衰係数[rad/sec] δp2 2.25×1015
    δp3 5.40×1014
    δp4 2.40×1015

    電磁波解析ソフトにおける設定

    Copper/RefractiveIndex (FrequencyDispersion)
    Copper/EpsInf 2
    Copper/FrequencyDispersion(1) Drude
    Copper/OmegaP(1) 1.32E+16
    Copper/OmegaNu(1) 5.28+13
    Copper/FrequencyDispersion(2) Lorentz
    Copper/DeltaEps(2) 2.00
    Copper/OmegaP(2) 8.00E+15
    Copper/DeltaP(2) 3.20E+15
    Copper/FrequencyDispersion(3) Lorentz
    Copper/DeltaEps(3) 3.00
    Copper/OmegaP(3) 4.50E+15
    Copper/DeltaP(3) 3.15E+15
    Copper/FrequencyDispersion(4) Lorentz
    Copper/DeltaEps(4) 0.2
    Copper/OmegaP(4) 3.60E+15
    Copper/DeltaP(4) 3.60E+14
    
  • expand_lessニッケルの複素屈折率と分散モデルによる近似

    ニッケルは銀白色の光沢ある色を示します。クロムなどと一緒に合金としてステンレス鋼によく使用されます。可視光全体で60%前後の反射率を示すため白色で、可視光全体をDrudeモデル、波長200ー400nmの変曲点をLorentzモデルで物性値を精度よく再現できます。純ニッケルや酸化ニッケルのナノ粒子が触媒としてよく用いられるほか、磁性材料であるため、プラズモン共鳴と磁気的特性を併せ持った光アンテナなどへの応用が研究されています。

    ニッケルと分散モデルの複素屈折率
    ニッケルの複素屈折率と分散モデルによる近似

    分散モデル(Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentz)

    Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentzモデル

    分散モデルに与えたパラメータ一覧
    分散モデル 設定する係数 変数 数値
    共通 周波数∞の誘電率 ε 2.00
    Drudeモデル プラズマ角周波数[rad/sec] ωp1 1.60×1016
    衝突周波数[rad/sec] νc 3.04×1015
    Lorentzモデル 静電界の誘電率から周波数∞の誘電率を引いた値 ∆ε2 2.00
    共振周波数[rad/sec] ωp2 7.20×1016
    減衰係数[rad/sec] δp2 2.88×1015

    電磁波解析ソフトにおける設定

    
    Nickel/RefractiveIndex (FrequencyDispersion)
    Nickel/EpsInf 2
    Nickel/FrequencyDispersion(1) Drude
    Nickel/OmegaP(1) 1.60E+16
    Nickel/OmegaNu(1) 3.04+13
    Nickel/FrequencyDispersion(2) Lorentz
    Nickel/DeltaEps(2) 2.00
    Nickel/OmegaP(2) 7.20E+15
    Nickel/DeltaP(2) 2.88E+15
    
    
  • expand_lessアルミニウムの複素屈折率と分散モデルによる近似

    アルミニウムは銀白色の光沢ある色を示します。軽量かつ加工性が高いため広い用途に使用されています。アルミニウムはプラズモンの共鳴周波数が紫外域に存在するため、紫外プラズモニクスの材料として期待されています。

    アルミニウムと分散モデルの複素屈折率
    アルミニウムの複素屈折率と分散モデルによる近似

    分散モデル(Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentz)

    Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentzモデル

    分散モデルに与えたパラメータ一覧
    分散モデル 設定する係数 変数 数値
    共通 周波数∞の誘電率 ε 1.00
    Drudeモデル プラズマ角周波数[rad/sec] ωp1 2.35×1016
    衝突周波数[rad/sec] νc 1.18×1015
    Lorentzモデル 静電界の誘電率から周波数∞の誘電率を引いた値 ∆ε2 1.00
    共振周波数[rad/sec] ωp2 2.35×1015
    減衰係数[rad/sec] δp2 4.70×1014

    電磁波解析ソフトにおける設定

    Aluminium/RefractiveIndex (FrequencyDispersion)
    Aluminium/EpsInf 1.00
    Aluminium/FrequencyDispersion(1) Drude
    Aluminium/OmegaP(1) 2.35E+16
    Aluminium/OmegaNu(1) 1.18+13
    Aluminium/FrequencyDispersion(2) Lorentz
    Aluminium/DeltaEps(2) 1.00
    Aluminium/OmegaP(2) 2.35E+15
    Aluminium/DeltaP(2) 4.70E+14
    
    
  • expand_lessロジウムの複素屈折率と分散モデルによる近似

    ロジウムは銀白色の光沢ある色を示します。自動車の三元触媒への使用が代表的です。プラズモンの共鳴周波数が紫外域にあるため、紫外プラズモニクスの材料として期待されています。また、触媒としての性能向上も含め、ナノ粒子の研究が盛んに進められています。

    ロジウムと分散モデルの複素屈折率
    ロジウムの複素屈折率と分散モデルによる近似

    分散モデル(Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentz)

    Drude-Lorentz-Lorentz-Lorentzモデル

    分散モデルに与えたパラメータ一覧
    分散モデル 設定する係数 変数 数値
    共通 周波数∞の誘電率 ε 1.00
    Drudeモデル プラズマ角周波数[rad/sec] ωp1 2.05×1016
    衝突周波数[rad/sec] νc 2.05×1015
    Lorentzモデル 静電界の誘電率から周波数∞の誘電率を引いた値 ∆ε2 1.00
    ∆ε3 2.50
    共振周波数[rad/sec] ωp2 1.20×1016
    ωp3 4.30×1015
    減衰係数[rad/sec] δp2 7.20×1015
    δp3 2.15×1015

    電磁波解析ソフトにおける設定

    
    Rhodium/RefractiveIndex (FrequencyDispersion)
    Rhodium/EpsInf 1.00
    Rhodium/FrequencyDispersion(1) Drude
    Rhodium/OmegaP(1) 2.05E+16
    Rhodium/OmegaNu(1) 2.05E+15
    Rhodium/FrequencyDispersion(2) Lorentz
    Rhodium/DeltaEps(2) 1.00
    Rhodium/OmegaP(2) 1.20E+16
    Rhodium/DeltaP(2) 7.20E+15
    Rhodium/FrequencyDispersion(3) Lorentz
    Rhodium/DeltaEps(3) 2.50
    Rhodium/OmegaP(3) 4.30E+15
    Rhodium/DeltaP(3) 2.15E+15
    
    
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