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英国与党が研究開発費の増額を公約(2017年5月23日 藤田明希)

Brexitで世界の耳目を集めた英国でその与党が研究開発(R&D)費の増額を選挙前の公約として表明しました。意外なことに2015年時点で英国のR&D費はGDP比率でいうとかなり低く中国にも抜かれたようです。これはドイツを除いてユーロ圏では全体的に低いようですが、英国の対GDPのR&D費率はそのユーロ圏の平均にも達していません。

今回の公約はR&D費を対GDPで現状の1.7%から2.4%に引き上げ、将来的には3.0%を目指す内容です。当然研究者たちは歓迎しているのですが、実際に研究開発費を支払うのは多くは企業なので果たしてそう絵に描いたように上手くいくかはかじ取りの難しいことでしょう。政府が直接R&Dに投資することも可能ですが予算との兼ね合いも必要ですから安直にはいかないでしょう。

とはいえBrexit後、EUという自由貿易・自由交流圏からの離脱を図る以上、国としての競争力を上げていかないと国際競争力の点で後れを取りかねないという政権与党の危機感の表れかもしれません。過去の英国ではピンチになるとR&Dではなく金融に注力する傾向がありましたがBrexit後風向きが変わってきたのでしょうか。

最後にこの記事でベンチマークされている国がアジアからは韓国と中国で、日本は個別には取り上げられていません。日本のR&D費の対GDP比率は3.8%程度で、英国の倍以上で金額でいうと3倍程度です。そう考えると日本はR&Dに熱心であるとみるか、これだけかけても英国に対して圧倒的な成果が得られているとは言えない現状を鑑みると効率が悪いとみるか迷うところです。今日取り上げた記事のマサチューセッツ大学ローウェル校の経済学者William Lazonick氏のコメントは辛辣です。「R&D費が有用な指標になるとはだれも考えていない」と。

ニュース元(Nature.com)
UK political parties promise science funding boost

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