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かぎけん花図鑑

座禅草

現存する草花にはそれぞれ特殊な能力があり、だから絶滅もせずこれまで生き永らえて来たのでしょう。 例えば、人や車に踏まれても耐え忍ぶ能力だったり、崖っぷちで吹き飛ばされないようにしがみ付く能力だったり、根から成長抑制物質を出して他の植物の成長を阻害させる能力だったり、能力にも色々なものがあるものです。その中で、私が最も興味をそそられるのが自家発電する座禅草の能力です。

座禅草とは
座禅草とは、サトイモ科ザゼンソウ属の多年草です。初春、地面から出す短い花茎の先端に、薄黄色い肉穂花序(小花を多数集めた塊)とそれを取り巻く赤茶色の仏炎苞(頭巾のようなもの)を付けます。この段階では、まだ葉は出ていません。 この肉穂花序に付いている小花は雌雄同株の両性花ですが、座禅草は自家受粉で受精できない自家不和合性なので、他の株の花粉を受粉する必要性があり、媒介してくれる蝿を呼び寄せるため花序から異臭と熱を放ちます。

座禅草は自家発電する珍しい植物
サトイモ科の植物は熱帯地域のものが多いですが、ザゼンソウは寒冷地のものです。雪解け時期に颯爽と先陣を切って表われる、というよりは、自身が発熱して雪を溶かして出てくる自家発電型の植物です。 座禅草は、植物では珍しく発熱遺伝子を持っており、その仕組みは開花の際に、根茎に予め貯蔵しておいたデンプンが肉穂花序の細胞内にあるエネルギー発生器官のミトコンドリアにより酸素と結合して(外気温とはかかわらず)20~30度の温度を発生し雌花の開花期の2週間ずっと持続します。受粉の際に花粉管の伸長に最適な温度が23度のようで、受精し種子を形成する生殖過程を最適な温度状態で行っているのかと推定されます。

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