ナデシコ（撫子、学名：Dianthus superbus）は、日本原産でナデシコ科ナデシコ属の耐寒性常緑多年草です。ナデシコと言えば本種（河原撫子学名：Dianthus superbus “longicalycinus”）を差します。太くしっかりした花茎は、上部でスプレー状に枝分かれし、枝先に花を咲かせます。花は紅紫色の5～6枚の花弁から成り、各弁花の先端は細深裂します。
秋の７草として詠われていますが、ナデシコの花の開花は、春から秋までと長いです。万葉集では好んで詠われています。

万葉集と撫子

万葉集 第18巻　4070番歌

作者：大伴家持
題詞：詠庭中牛麦花歌一首
登場する花： 奈泥之故（ナデシコ）

原文

比登母等能 奈泥之故宇恵之 曽能許己呂 多礼尓見世牟等 於母比曽米家牟

読

比登母等（ひともと、一本）能（の） 奈泥之故（なでしこ）宇恵之（植えし）　曽能（その）許己呂（心）　多礼尓（誰れに）見世牟（見せむ）等（と）　 於母比（思ひ）曽米家牟（そめけむ）
↓
一本の　なでしこ植えし　その心　誰れに見せむと　思ひそ（始）めけむ

意味

一本の　なでしこを植えた　その心は　誰に見せようと　思い立ったのだろうか。他でもない、あなたに、見せたかったんです。

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